政府の「再チャレンジ」はどこまで浸透?

 

安倍晋三首相は、9月29日の所信表明演説で、「新たな日本が目指すべきは、努力した人が報われ、勝ち組と負け組が固定せず、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化している社会、すなわちチャンスにあふれ、誰でも再チャレンジが可能な社会です」と語った。安倍政権の掲げる「再チャレンジ可能な社会」(表)自体に、異論を唱える人は少ないだろう。

今や雇用者の3人に1人が非正規社員という時代である。日本は、終身雇用や年功賃金など、手厚い保障のある正規社員と、こうした保障が乏しく時間当たり賃金の低い非正規社員の二極構造になっている。新卒という限られた時期を逃すと、能力の有無にかかわらず、正規社員への門戸が極端に狭くなるのは、社会として合理性が乏しい。

また今後の労働力人口減少を考えると、多様な就業形態で子育てや介護をしながら働き続けられることが重要になる。「再チャレンジ」が掲げる正規・非正規社員間の「均衡処遇」や転換制度の導入は、非正規社員という働き方を魅力あるものに変えて、社会の活性化につながっていくように思う。

 みずほ情報総研 社会保障 藤森クラスター 主席研究員 藤森 克彦氏

 

安倍政権の「再チャレンジ」支援策の概要

  1. 新卒一括採用を見直して新卒者以外にも門戸を広げる「複線型採用」を経営トップに働きかける。
  2. フリーターやボランティアの経験を企業の採用評価に反映させる仕組みの整備
  3. 国家公務員の中途採用などを提言
  4. 正規・非正規社員間の均衡処遇
  5. 非正規社員の正規社員への転換制度なども企業に働きかける

安倍首相が内閣官房長官時代にまとめた「再チャレンジ可能な仕組みの構築」(06年5月)より抜粋

 

 


がん対策基本法(平成18年法律第98号)とは


がん対策を総合的かつ計画的に推進

 

<がん予防及び早期発見の推進>

  ○がん予防の推進 ○がん検診の質の向上等

 

<がん医療の均てん化の促進等>
  ○ 専門的な知識及び技能を有する医師、その他の医療従事者の育成   ○ 医療機関の整備等
  ○ がん患者の療養生活の質の維持向上                     ○ がん医療に関する情報の収集提供体制の整備等

 

<研究の推進等>
○ がんに関する研究の促進                               ○ 研究成果の活用
○ 医薬品及び医療機器の早期承認に資する治験の促進             ○ 臨床研究に係る環境整備

 

つまりこういったことを国民に知らしめるということです。

これに伴い、例えば【例1】長期療養者就職支援事業のような、様々な事業が予算化されましたが、「平成26年度予定額 66百万円(25年度予算額27百万円)」

なかなかこれでは、抜本的な解決とはならないようです。

 

近代の医学的進歩により、がんは治る時代となりました。(残念ながら一部のがんを除く)

しかし、だからこそ、その後の生き方を考えていかなければなりません。

家庭を支える家計を築いていかなければ、せっかく延命できても、末路は地獄で、治療後の自殺者の数も増え続けています。

これでは、なんのために治療したのか・・・

 

現状の支援の主なパターンとして

・復帰を促すリーフレットやパンフレットの配布や、新たな職業訓練の案内などを見かけますが、果たしてそれで社会復帰といえるでしょうか。

 


【例1】 長期療養者就職支援事業

近年、医療技術の進歩や医療提供体制の整備等により、がん患者の5年後の生存率がおよそ60%までに向上している状況などの中、がん、肝炎、糖尿病等の疾病により、長期にわたる治療を受けながら、生きがいや生活の安定のために就職を希望される方に対する就職支援を推進することが社会的課題となってきています。
 このため、厚生労働省では、ハローワークに就職支援ナビゲーター を配置し、 がん診療連携拠点病院などとの連携のもと、個々の患者の希望や治療状況を踏まえた職業相談・職業紹介、患者の希望する労働条件に応じた求人の開拓、患者の就職後の職場定着の支援などの就職支援を全国的に実施しています。 また、がん診療連携拠点病院などへの出張相談による職業相談や労働市場、求人情報などの雇用関係情報の提供も行っています。

しかし・・・これが現実的な数値です。

 

■ 勤務者の34%が依願退職、解雇されている ■

 

■ 自営業等の者の13%が廃業している ■